ウォーキングの効用
ダイエット(減量)
運動は無酸素運動と有酸素運動の2つの種類に分けられます。無酸素運動とは、短時間に大きなエネルギーを消費する運動で、その代表的なスポーツが、あのモーリス・グリーンやマリオン・ジョーンズがシドニーオリンピックで金メダルを獲得した100m競走です。
一方、有酸素運動は、長時間に少しずつエネルギーを出しながら、たくさんの酸素を体内に取り入れながら行う運動です。ウォーキングやサイクリング、それにエアロビクス・ダンスなどが該当します。この有酸素運動のエネルギー源は主に脂肪です。心臓や肺の機能を高め、血液中の善玉コレステロールを増やし、中性脂肪を減らす効果がある運動です。
また、有酸素運動は動脈硬化の促進を抑える効果もあるといわれています。
ちょっと専門的な話になりますが、運動をする際、筋肉を伸び縮みさせるエネルギー源としてアデノシン3リン酸(ATP)という物質の再合成を必要とします。ところが、ウォーキングを20分以上続けた頃から、エネルギー源がグリコーゲンから、からだに蓄積されている脂肪にシフトされ始めます。つまり、からだに蓄積されている脂肪が燃焼を開始するのです。努力次第では、体脂肪の減少が継続し、肥満が解消します。
脳の活性化
数100万年前、アフリカで誕生した人類が二本足で立った、まさにその瞬間から人間の脳は発達を始めました。立つことにより、手が自由に使えるようになり、その結果、大脳皮質が発達し、火を使ったり、道具を操ることができるようになりました。
脳が活性化し、発達するために、なくてはならなかった最も重要な行為の一つが、つま先の蹴り出しといわれています。猿人たちが、つま先で地面をしっかり掴み、強く蹴り、前に進むという動きを学習するにつれて、脳は進化を遂げてきたという学説がありますが、なんと、脳の発達の4分の1は、歩くことによってもたらされたものだそうです。
人類の祖先ならずとも、私たちにとって、歩けば血液の循環がよくなります。同時に脳を刺激してくれます。使わないからだは退化するばかりです。車社会でだんだん歩く機会が少なくなってきた私たちですが、せめて週に3回ぐらいノーカーデーを作って「歩く」ことを考え直してみませんか。
筋力づくり
私たちの筋力の衰えは、からだの下部に行くほど大きくなります。
ちなみに、ふくらはぎの筋肉が衰えるスピードは、肩の筋肉の3倍といわれています。「老化は脚から」といわれるわけです。
ところで、筋肉は骨や関節を支える強靭なサポーターなようなものです。その力(筋力)が弱くなると骨や関節に負担がかかり、痛みなどの症状に悩まされることになります。
ウォーキングは、文字通り歩くことで、大腿筋が鍛えられます。大腿筋は姿勢を支える筋肉のひとつですから、強くなれば姿勢もよくなります。
姿勢がよくなれば腰痛の防止にもなります。それに、からだのバランス感覚もよくなり、転びにくくなる効果もあります。
最近、骨がもろくなる骨粗しょう症がよく話題にのぼりますが、自分の全体重を受けとめながら運動することによって、骨に適度な負荷(抵抗)がかかります。刺激を受けた骨の周りの筋肉も収縮運動を繰り返します。その結果、血液中のカルシウムを骨に付着させる動きや骨密着度を上げる効果があるといわれています。